ダンスを踊ることで、子どもの足が速くなるそうですよ!
公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会と、名古屋学院大学リハビリテーション学部の佐藤菜穂子准教授が共同開発した「足が速くなるダンス」が、小学生の間で話題です。
なぜ、ダンス?
子どもにとっては「もも上げ」など言葉で説明されるより、何かを模倣して動くことの方がわかりやすく、自然と動作が身につくからだそうです。「足が速くなるダンス」では、足が速くなるためのトレーニング要素が含まれているのです。
足が速くなるダンスの振り付け、YouTubeで公開
- ピッチ(足の回転数を上げる)
- 歩幅を広げる
- 安定した姿勢を保持する
「足が速くなるダンス」は、こちら!
足が速くなるためには、上記の3つの要素が重要です。これら3つの要素がダンスの振り付けの中に含まれていて、踊りながらトレーニングすることができる、という訳です。
使われている楽曲はオペラの名曲、ジョルジュ・ビゼー「カルメン組曲 第1番 前奏曲」のアレンジバージョン。運動会の定番曲ですね。
大阪市立柏里小学校、足が速くなるダンスを週3回導入。その結果は?
日本ストリートダンススタジオ協会では、プロのダンスインストラクターを全国の学校で出張授業を行っています。「足が速くなるダンス」を取り入れている大阪の小学校の事例が、毎日新聞で記事になっていました。
小学5年生・6年生が、週3回、体育の授業でダンスを実施したそうです。
その結果は……?
ストリートダンスで足が速くなるか――。大阪市立柏里(かしわざと)小学校(同市西淀川区)の5、6年生がダンスのプログラムに基づいて挑戦したところ、3週間で50メートル走のタイムが平均0.1秒縮まる結果が出た。リズムに合わせて手を伸ばしたり、太ももを上げたりする動きが短距離走のトレーニングに適していると考えられ、教育現場で注目を集めそうだ。
(中略)
柏里小は5月10日に協会から講師を招いて振り付けを学び、週3回の体育の授業でダンスを実施。講師による手本が動画投稿サイト「ユーチューブ」で見られるため、家庭で練習に励んだ児童も多かったという。
プログラムの効果を確かめる5月31日の計測会では、92人中56人が1カ月前の記録よりタイムを縮め、中には2.6秒速くなった児童もいた。15人は同タイムだった。逆に2秒以上遅くなった児童もいた。
半数以上の児童が、50メートル走のタイムを縮めたとのこと。中には2.6秒も速くなった児童もいたそうです。
子どもがダンスをするメリットとは
小学生や未就学児にとってのダンスは、科学的な側面からみて大きなメリットがあります。
子どもの発育において、幼児・小学生の時期は、身体を上手に動かす神経系が発達します。走ったり、ジャンプをしたり、バランスをとったり。
この時期にダンスをすることで、子どもをしっかりと成長させることができるのです。
子どもの発育発達の側面から考えても、ダンスには大きなメリットがあります。子どもの成長には、年代によって成長する部分に差があることが分かっています(スキャモンの発育発達曲線)。
生まれてから小学生にかけては、バランス感覚・リズム感・敏捷性などの「神経系」が発達していきますので、単純な動作の繰り返しではなく、多様な動きを多く実践することが「神経系」の発達には重要であるとされています。
ダンスは、多様な動きを振り付けから実践することができ、また同時にリズム感も養うことができるため、「神経系」の発達のための運動として、非常に有用であると考えられます。この点からも、ダンスを取り入れたトレーニングは、小学生のうちに積極的に取り組む必要があると考えられます。
スキャモンの発育曲線とは
子どもの頃、自転車に乗れるようになると、大人になってから何年も乗らない時期が続いても、いつでも自転車に乗れます。
これって不思議ですよね。
実は、神経回路は一度その経路が形成されると、なかなか消えません。要は身体に染みついているのです。
先に「幼児・小学生の時期は、身体を上手に動かす神経系が発達します」と書きましたが、具体的には以下のとおりです。
- 【5歳までに】成人の80%に成長
- 【12歳までに】成人のほぼ100%に達する
人は、年齢によって成長する部位が変わります。
小学校に入る頃には、人間の日常的な動作・運動のほとんどができるようになり、小学校を卒業する頃には、大人とほぼ同様の動きができるのです。
スキャモン発育曲線は、アメリカの人類学者 R.スキャモンが提唱しました。上記グラフの「脳、脊椎など」の曲線が、神経系(神経型)を示しています。4歳くらまで一気に伸びて、その後は12歳頃にかけて緩やかに成長しています。
骨や筋肉の成長はその後です。中学生・高校生の時期に、急激に伸びていきます。
【結論】子どもの頃に身体を動かすのは超大事!
ダンスで、足が速くなるのはなぜ?
その理由は、ダンスの振り付けの中に「ピッチ」「歩幅」「安定した姿勢」の様子が入っているということと、12歳までの子どもは運動能力を司る神経系が成長する時期だから、ということになります。
大人になってからの運動と、子どもの頃の運動とは、ちょっと意味合いが違うのです。
遊びの中にも、身体を動かすというのをたっぷりと取り入れて行きましょう。
運動不足・太り気味のパパには、ロコモダンス体操
日本ストリートダンススタジオ協会では、大人向けのダンスも公開しています。
これは、ぜひパパが取り組みたいダンス! なぜなら、ロコモティブシンドロームとメタボリックシンドロームの予防になるからです。
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、加齢にともなう「立つ」「歩く」などの運動能力が低下している状態のこと。また、メタボリックシンドローム(通称:メタボ)とは、太り気味で、脂質異常、高血糖、高血圧になる状態のことです。
要は、運動不足のパパに効く、という訳です。
親子で「ロコモダンス体操」に取り組むのも良さそうですね。