出生数100万人台、2015年が最後の年になる
日本の人口の年間推移は、毎年年末に厚生労働省が発表するのが恒例です。
昨年2016年、戦後初めて年間の出生数(赤ちゃんが生まれた数)が100万人を下回り話題となりましたが、今年2017年はさらに落ち込み、2年連続の100万人を切る数字となりました。
■過去5年間の出生数推移
【2013年】 1,029,816人
【2014年】 1,003,539人
【2015年】 1,005,677人
【2016年】 976,978人
【2017年】 941,000人(推計数)
日本の現代史を振り返ってみると、第一次ベビーブーム(段階の世代)の出生数は約270万人で、第二次ベビーブーム(段階ジュニア)は約210万人でした。それから40数年後の現在、1年間に生まれる子供の数は半分以下になったのです。
まさに「激減」と言えますね。
日本ではもうこの先、出生数が100万人を超える見込みはありません。2015年が、ほぼ間違いなく最後の100万人ベビーになるでしょう。
団塊ジュニアが、自然妊娠可能年齢のピークを超えた
1947年から2017年前の出生数をグラフにしてみると、1990年頃から減少はとてもなだらかになっています。これを見て、こう思った方もいるでしょう。
「また右肩上がりになりそうな気がする」
「もう下げ止まりじゃないの」
「急落していないのは、アベノミクス効果かな」
でも、どれも間違いです。
日本では1986年施行の「男女雇用機会均等法」以降、女性の社会進出が活発になり、働く女性が増えました。それに伴い、晩婚化・出産の高齢化が進み、第三次ベビーブームが起きなかったと言われています。
1990年代から2010年代にかけて出生数がなだらかになっているのは、第二次ベビーブーム(段階ジュニア)世代の結婚・出産が散らばった為なのです。いよいよ今年2017年は、団塊ジュニアが40代半ばとなり、自然妊娠可能年齢のピークの超えました。
今後は、雪崩を打つように出生数が激減して行く可能性が高いのです。
1970年代、政府は子供は2人以内を推奨していた
ちなみに、第二次ベビーブームの後、出生数が激減しているのは政府の方針です。当時、このまま日本の人口が増え続ければ「食糧不足になる」「仕事がなくなる」、と懸念されていたのです。
40年ほど前、日本では「子供の数の増えすぎ」を議論していたとは、今では信じられませんね。まるで未来を予測する力がなかった、ということになります。
合計特殊出生率は1.44、人口維持は2.07以上
女性が生涯で産む、子供の数の平均数を「合計特殊出生率」といいます。配慮を省略してざっくり言えば、すべての女性が2人ずつ子供を産むと、人口は維持されます。この場合、合計特殊出生率は2.0となります。
しかし第二次ベビーブームをピークに、日本の合計特殊出生率はほぼ右肩下がりが続いているのです(当時の政府の政策が上手くいった)。
昨年2016年は、1.44でした。
合計特殊出生率が2.0を切ってからおよそ40年経っていて、今後2.0を超えることはほとんど無いと考えられています。政府の試算によると、人口を維持するために必要な合計特殊出生率は2.07以上とのことです。
少子化ニッポン、身近な未来を想像してみて
今後、少子化が進むと、どのようなことが起きるでしょうか。
- 学校が余る
- 働き手が不足する
- GDP(国内総生産)が減る
- 国力が弱る
- 税収が減る
- 社会保障、公共サービスの維持が困難になる
- 人口が減る
- 空き家が増える……など
もはや、これらはすでに起きている問題ですね。これから思わぬところに少子化の影響が出てくるのでしょう。
皆さんは、10年後、20年後、日本はどんな社会になっていると思いますか。また、皆さんのお子さんは何をしていると思いますか。そして、あなた自身はどうなっていますか……。
最後に私ごとですが、僕の父方の祖父母は、大勢の子供と孫に囲まれて世を去りました。僕は幼いの頃、「自分もおじいちゃんになったらこうなるのか」と勝手に想像していました。しかしわが家にいるのは息子がひとりだけです。僕たち夫婦が大勢の子や孫に囲まれることはあり得えないのです。
わかりきっていることでも、改めてイメージしてみると「あ、そっか……」と気づかされます。まずは身近なところからでも具体的にイメージを膨らませていくと、未来が少し見えてくるかも知れません。