米津玄師(よねづ けんし)さんが、作曲・プロデュースした楽曲「パプリカ」。
2018年8月、NHK Eテレ「みんなのうた」で、この曲の放送が始まりました。このとき歌っていたのは、小学生男女5人で構成されたユニット・Foorin(ふーりん)です。同月15日、シングルもリリースされ、大ヒットになりました。
それからちょうど一年後の2019年8月、米津玄師さんが自ら歌うセルフカバーバージョンが、NHK Eテレ「みんなのうた」で放送されたのです。曲調もアレンジされ、これまでFoorinバージョンに慣れ親しんでいた人たちも、また夢中になりました。
そんな米津玄師セルフカバー版の公開を記念して、NHK Eテレでは「パプリカスペシャル 米津玄師インタビュー」が、同年8月16日を放送。
パプリカに込めた想いや、子どもたちへ向けたメッセージを語る内容だったのですが、これがすごくよかったのです。特に「夢に向かってがんばる子どもたちへ、メッセージをお願いします」という質問に対する回答には、大人である僕も胸が熱くなるほどグッとさせられました!
NHK Eテレで放送されたインタビュー部分を、文字でご紹介します。
パプリカ、Foorin版とセルフカバー版。込めた想いは同じ
__ セルフカバーに、どんな思いを込めましたか?
米津玄師:込めた思いというのは、Foorin版も、自分のバージョンも、変わらないんですけど。「まぁ、物理的に変わっていってしまっているな」とは思います。当事者性があるか、ないか、という点で。
無くなったら、センチメンタリズムみたいなものが、どうしても大きくなってしまうので。
だから、ただひたすら、何の意味もなく、はしゃぎ回るようなニュアンスというのも……。どうにかこうにか、自分も同じように、そういうものを出したいな、と。
どうあがいても、大人の自分が歌うのと、子どもが歌うのとでは違ってくるので、そこら辺は幅として残っていてもいいのかな、とは個人的には思います。
子どもの頃の体験は、大人になっても自分の深いところに影響
__ NHK「みんなのうた」で、流れることをどう感じていますか?
米津玄師:ほんと、光栄ですよね。「みんなのうた」って、やっぱりそれに影響を受けていまだに覚えている曲とかもいっぱいあるし。
それが恐らく、自分の深いところに影響を及ぼして、自分の今の音楽に関わってきていると思うんですよね。もしかしたら、フワッと忘れていってしまうものなのかも知れないですけど、絶対にその体験自体がなくなる訳でない。
「パプリカ」を聞いた子どもたちが、10年後、20年後、それをどういう風に受け止められるのかな、というのが、今からものすごく楽しみというか。それによって、まだその子たちの中に、ほんのわずかですけど自分の居場所があるというのが、とっても嬉しいですね。
子ども達が歌ったり踊ったりしているのを見て、本当に作ってよかった
__ 「パプリカ」の反響をどう思いますか?
米津玄師:なんか、本当とんでもないですよね。人と会ったりしても、すごいよく言われるんですよね。「最近うちの息子が」とか、「うちの甥っ子が」とか、「パプリカ歌ってるよ、踊ってるよ」というのを、動画で見せてもらったりとかよくするんですけど。
それが本当に1回、2回とかじゃなくて、もうもの凄い勢いであるんですよね。
そういう動画とかを見せてもらったりとかする度に、「あぁ本当に作ってよかったな」って毎回思いますね。
夢を持つことより、楽しんで没頭することが大事
__ 夢に向かってがんばる子どもたちへ、メッセージをお願いします。
米津玄師:明確に一つ、目標を持つ。それに対して、その目標のために頑張っていくというのは、すごく健全なことだなとは思うんですけど。「目標を持つことと、それに向かっていくこと。どっちが大事なのか?」といったら、向かっていくことの方が全然大事だと思うんですよね。
向かっていく最中は、没頭できるというか、我を忘れることができる。
そうやって向かっていくにつれて、いろんな周りの人間たちとかと、うまく生きていく、術を得ると思うんですよね。
どこかに向かっていこうとすることが一番大事であって、それに対して夢というのは、ただの付随でしかない。
だから……楽しく生きることですね。
楽しむこと、没頭して何もかもに全部フワッとなる瞬間が1個ある。それに没頭するためには、楽しむ必要がある。楽しく生きていくというのが、一番大事じゃないですかね。
そうやって生きていくことによって、将来のあなた自身を励ましてあげてください。
そういう風に思いますね。
パプリカは、保育園・幼稚園児にも大人気!
米津玄師さんのインタビュー、「どこかに向かっていこうとすることが一番大事であって、それに対して夢というのは、ただの付随でしかない」という一言にはグッとさせられました。
大人はよく、子どもに「将来なりたい職業は?」「夢は何?」と質問しますが、そういう事では無いということですよね。
- どこかに向かって行こうとするのが大事
- そのためには没頭が必要
- 没頭するには、楽しくないといけない
- 結論。楽しく生きよう!
さて、そんな考えをもった米津玄師さんの「パプリカ」は、子ども達にも大人気です。我が家の息子は今、保育園児なのですが、朝の体操でいつも踊っています。
それもあってか、週末に保育園のお友達と遊んでいるとき、子ども達が暴れまわって大変になったときに「パプリカ」を流すと、子ども達はパッと止まって、一斉に踊り始めるのです。3歳児も、4歳児も、5歳児も。
とっても可愛く思うと同時に、パプリカの子どもを惹きつける力は凄いな、と驚かされます。
素晴らしい曲をありがとう! 米津玄師さん!!
【告白】僕は最初、好きじゃなかった。でも、ふと気づけば大好きに……
以下、余談。
僕が、この「パプリカ」を初めて聞いたのは、最初にNHK Eテレ「みんなのうた」で公開されたとき。
当初は、東京2020マスコットの「ミライトワ」「ソメイティ」が踊るミュージックビデオだったのですが、僕はこれを見て「NHKが東京オリンピックのプロモーションを子ども相手にゴリ押しして、嫌らしいな」と感じました。
さらに、NHK Eテレ「みんなのうた」は、日替わりで様々な2曲が流れるのですが、この「パプリカ」は異常に回数が多かったのです。
曲の良し悪しというより、プロパガンダとも思えるこのやり方に、僕は嫌悪感を抱いてしまいました。
数ヶ月後……。
当時、4歳だった息子と保育園に登園した際、園児達が園庭で「パプリカ」を踊っているじゃないですか。
か、か、か……可愛い〜!!!
息子は、家でもパプリカダンスを披露してくれました。また、保育園のお友達と集まった時にもみんなで揃いのダンスを披露してくれました。
パプリカ最高! めちゃくちゃ良い曲!!
遅ればせながら、パプリカの魅力に気づきました。そして僕自身、子どもがいない時であっても、パプリカを聞くようになったのです。
恐るべし、パプリカマジック!
さらに、米津玄師セルフカバーバージョンを聞いた瞬間、僕はとても驚きました。
これは、レゲエのリズムじゃないか!
そうです。パプリカ米津玄師セルフカバーバージョンはアレンジがされていて、随所にレゲエのリズムが仕込まれていたのです。レゲエ好きの僕としては、さらにグググっとパプリカに吸い寄せられました。
もう最高です! 聴きまくっています!!
「パプリカ」の米津玄師セルフカバーVer.
サビ部分で、思わずWillie Bounce(ウィリーボンス)を踊ってしまった人は、きっと大勢いるはず。 #レゲエ好き多分あるある
パプリカ花が咲いたら
晴れた空に種をまこう
(00:57 辺りから)#レゲエ #米津玄師 #パプリカ https://t.co/DXKMLlDNNB— 北野 啓太郎@フリーランスライター (@KeitaroKitano) August 13, 2019