山梨県で行われた育児中の女性への意識調査によると、「生後3〜4か月までが、特に不安を感じている」ことがわかりました。
「赤ちゃんが寝てくれない」
「おっぱいを上手く吸わせられない」
「とにかく休みたい」など
これらの不安は、いつ起きるかはわかりません。日中、深夜、平日、週末……。
行政の相談所や産婦人科などの施設へ「平日の昼間」に相談しても、そのとき母子ともに安定していれば、本当の辛さを伝えたり、解決したりするのが難しくなります。
そこで山梨県では「ママの不安をサポートするには、24時間切れ目のない体制が必要だ!」と立ち上がり、県と市区町村が共同で「産前産後ケアセンター ママの里」を設立しました。
今回の「パパやる」は特別企画。移住先として日本でもっとも人気がある「山梨県」をリサーチしてきました。近畿日本ツーリストが実施する「子育て山梨 施設体験モニターツアー」へ、取材班として参加してきたのです。
本記事では「産前産後ケアセンターママの里」のレポートをお届けします。
移住を検討されている方だけでなく、全国のママ・パパに役立つ育児のコツをうかがってきました。知っているのと、知らないのとでは、夫婦関係や家庭内のようすがガラッと変わるはず。
今回の記事は、「産前産後ケアセンターママの里」のご紹介とともに、出産を控えたプレママ・プレパパ、そして育児中の新米ママ・パパに読んでもらいたい内容です。
子育て家族の山梨移住シリーズ(全3話)
・【第1話】「田舎暮らしを始めるポイント」編
・【第2話】「産前産後ケアセンター ママの里」編 ←この記事
・【第3話】「笛吹川フルーツ公園・桔梗屋」編
*この記事は山梨県のスポンサードでお届けします。
「産前産後ケアセンター ママの里」ってどんなところ?
*利用料金や設備などは、取材日(2018年11月時点)の内容となっています。詳しくは公式サイトをご確認ください。
今回訪問した「産前産後ケアセンター ママの里」では、施設内の見学に加え、センター長・榊原まゆみさんより「ママ・パパが知っておきたい育児のお話」をうかがってきました。
パパやる・北野
「こんにちは。今日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、ここはどんな方のための施設なのですか?」
ママの里・榊原さん
「県と市町村が共同体を作って、山梨県内で出産されたお母さんたちを支えようという気持ちでできた施設です。東京だと世田谷区に『区立産後ケアセンター』がありますよ。各地にも少しずつ出てきていますね」
パパやる・北野
「僕は世田谷区在住ですが、産後ケアセンターを知りませんでした……。ここでは具体的に、どんなサポートを行なっているのでしょうか?」
ママの里・榊原さん
「ここは、子育てママと妊婦さんをケアする施設です。事業としては主に3つあります。ひとつは『宿泊型のケア』で、産後4か月までのママの身体と心を休めてもらうケアです。ふたつめが『24時間体制の電話相談』で、経験豊富な助産師が無料対応しています。みっつめが『健康教室』で、マタニティクラスからベビーマッサージまで様々な教室を開いています」
パパやる・北野
「なるほど。産前産後とサポート期間が長く、しかも24時間体制とは手厚いですね。まずはひとつめの『宿泊型のケア』について具体的に教えてください」
ママの里・榊原さん
「早速、施設の中をご案内しましょう」
【1】宿泊型ケアについて(産前産後ケアセンター ママの里)
ママの里・榊原さん
「ここは宿泊用のお部屋が6部屋ある、施設の2Fです。最大で6人のママが赤ちゃんと一緒に宿泊することになります」
ママの里・榊原さん
「お部屋は、おうちで生活しているのと同じような空間をイメージしています。本当はソファーがあるといいんだけど、そこまでは設置できないので、このベッドを使って授乳をしていただいています。
それと、ベランダの窓を開けると、富士山がちょこっと見えるんです。
洗濯は、別に洗濯機があるお部屋があるので、そこで自分でお洗濯をしてもらっています。乾燥機を使ってもらってもいいのですが、自分で干してみるといいですね。
赤ちゃんが生まれたばかりの頃は、赤ちゃんが寝ないとママは何もできないと思いがちです。でも、お洗濯をピンで止める程度だと、赤ちゃんをあやしながらできるので、『赤ちゃんが寝るのを待たなくても大丈夫よ』というのを、ここで経験してもらっています」
ママの里・榊原さん
「ここは広めの和室です。双子ちゃんの場合は、こうした広い部屋に案内しています。あと兄弟がいて、上のお子さんと一緒に泊まることもできます。
たとえば、上のお子さんが幼稚園・保育園に通っていて、ここから近ければ、夜はここで泊まって、幼稚園・保育園へ行くこともできますよ」
パパやる・北野
「すごくきれいなお部屋だし、家庭環境に応じた部屋作りをされているのですね」
ママの里・榊原さん
「ここが浴室です。お湯は、おひとり入られるごとに換えています。浴槽はジャグジー(ジェットバス)になっているので、ゆっくり入れば血行がよくなって、疲れもとれやすくなります。
お母さんたちって、産後はゆっくりお風呂に入っていられないですよね。『赤ちゃんが泣いてないかな?』と気になったり、泣いていないのに空耳が聞こえたり。気になって仕方がないから、毎日の入浴はサッと入って終しまい。
だから、ここでは赤ちゃんをお預かりして、お母さんにはゆっくりとお風呂に入ってもらっています」
ママの里・榊原さん
「ここはお食事をしていただくお部屋です。ママの里は、友達どうして泊まる訳ではありません。たまたま同じ病院で同じ時期に出産した人が一緒になることはあるけど、ほとんどは初対面です。
知らない人どうして食事をすることになるのですが、食事とお風呂の時間は、助産師がお子さんをお預かりして、お母さん達にゆっくりと過ごしてもらっています。みなさん、お話ししながら盛り上がっていますよ」
パパやる・北野
「どんな会話をされているのですか?」
ママの里・榊原さん
「旦那さんのこととか(笑)。初対面だからこそ、夫婦のことをよく知っている親しいお友達には言えないことも話せるようです。ここでの話は、ここでおしまい。色々話せば憂さ晴らしにもなりますしね。
『同じ悩みを持った人が他にもいるんだ』とわかるのも、ママにとっては大切です。宿泊すると絆が深まるようで、メールアドレスやLINEを交換して、退所後も仲良くされているママは多いですよ」
パパやる・北野
「これは料理の写真ですね。豪華なお食事ですね!」
ママの里・榊原さん
「ここの食事は、近くのホテルから提供してもらっています。『ほうとう鍋』とか『すき焼き』とか、温かいお料理はかならず入っています」
パパやる・北野
「ちなみに、ここにパパは泊まれないのですか?」
ママの里・榊原さん
「泊まることはできませんが、面会はできます。旦那さんが夜の8時までで、そのほかのご家族は夜の6時までです。なかには『お風呂の入れ方を教えて欲しい』というお父さんもいらっしゃるので、そういう場合は時間を合わせています」
育児が辛い、不安……。産後のママがピンチになる前に利用しよう
パパやる・北野
「産後のママにとって、ここは心身ともにリラックスできる施設であることが、とてもよくわかりました。ここで『宿泊型ケア』を利用される方は、ピンチになったときに利用申請すればいいのでしょうか?」
ママの里・榊原さん
「ピンチになる前に使ってもらいたいんです。『すごく具合が悪いママが使う施設だ』『これくらいで使ったら申し訳ない』と思っている方がいらっしゃいますが、そんな我慢をするのではなくて、ピンチにならないように使って欲しいのです。
ただ、役所に書類を提出してからの利用になるので、『今日言って、その日から利用』というわけにはいかないけど、お部屋さえ空いていたら、早く利用して頂けるようにしています」
パパやる・北野
「なるほど。利用をためらったり、我慢したりしなくて良いんですね!」
ママの里・榊原さん
「利用される理由は様々です。『子育てが不安』『泣いた時の対応がわからない』『睡眠不足で心身ともに疲れた、ゆっくり眠りたい』など。あと、移住者の方など『実家や家族の支援がない方』もご利用頂いています。
私たちはまず、ここに来たママとしっかりお話をします。そこで『何が一番の目的か』を確認するんです。『自分のやっている育児で大丈夫なのか見て欲しい』という方もいらっしゃいますし、『とにかく休みたい』という方もいらっしゃいます。
休むといっても、ただゆっくりするのではなく、助産師がママの身体をチェックして、それぞれに合った方法を考えます。湯たんぽを使った方が良いのかとか、食事をちゃんと食べようとか」
パパやる・北野
「助産師さんに、ママの身体を見てもらえるのはいいですね!」
ママの里・榊原さん
「ママが健康でないと、子どものお世話はできません。身体が疲れると、頭もまわらなくなります。何かを見ていても、頭に入らなくなったり、人が言っていることが理解できなくなったりするんです。
私たちはそんなママのようすを確認して、『授乳はお母さんにやってもらいますね。それ以外は休みましょう』など、そのお母さんにあったケアを提案しています。
また、おうちに帰ったときにも楽になるよう、抱っこの仕方や、泣いているときの対処法などをお伝えします。『子どもは少々ぐずっていても、よしよしとあやしながら家事やお母さんのことをしてもいいんだよ』と。
多くの女性は、身近で子育てしている姿を見ていないですよね。自分が母親になって、「赤ちゃんってこういう生き物なんだ」と、初めて知る。ここで私たちが子どもに声をかけているようすを見てもらったり、他のお母さんのようすを見てもらったりするなかで、こうやっていけばいいんだな、と経験できます。
『おうちに帰っても、なんとかやれそうです』と、笑顔になって帰ってもらうのがここの目的です」
産前産後ケアセンター ママの里 宿泊費
山梨県にお住まいで、産後4か月までのお母さんとお子さんが利用できます。利用の申し込みは、住民票がある市町村の役所へ。
■チェックイン
15:00
■チェックアウト
10:00
■お部屋
洋室4部屋
(お子さんのご兄弟が一緒に宿泊できるお部屋 1室)
和室2部屋
(お子さんのご兄弟が一緒に宿泊できるお部屋 1室)
■利用料金
1泊2食
6,100円(昼食は別途1,000円)
*3泊4日の場合
6,100円 × 3 + 1,000円 × 2
合計 20,300円
*双子や上のお子さんと宿泊する場合は、別途プラス料金が掛かります。
*1泊2食「6,100円」となっていますが、本来の基本料金は「33,900円」です。山梨県産後ケア事業の対象となった方は、県とお住まいの市町村が差額分を助成しています。
【2】24時間体制の電話相談について(産前産後ケアセンター ママの里)
パパやる・北野
「ふたつめの電話相談、助産師による24時間体制とはすごいですね」
ママの里・榊原さん
「子育て中のお母さんに『子育てをするなかで、どんなことが不安でしたか? お産をして、子育てをして、どんな支援があればうれしかったですか?』と、意識調査を行いなした。そこで『産後3〜4ヶ月まで、すごく不安を感じている』ことがわかったんです。半年を過ぎると少し慣れてくるけど、最初はすごく心配。『何か困ったことがあったとき、相談できるところがあればいいな』というお母さんが大変多かったのです」
パパやる・北野
「それ、僕もわかります。わが家の息子が生まれたとき、実家の両親を喜ばせようと写真を送ったら、『そんな抱っこの仕方はダメ』『そんなおもちゃを与えては危ない』と言われて、不安になりました」
ママの里・榊原さん
「妊娠中は産婦人科へ定期的に通いますが、産後は専門家へ相談する機会が減るんです。一般的には、3回です。保健師や助産師がおうちに訪問して、子どもとお母さんの健康状態をチェックしたり、育児のアドバイスをしたりする『新生児訪問』。産後1か月の『1か月検診』。そのあとは、地域の『3〜4か月検診』。
すごく心配な時期に、これだけしかないんです」
パパやる・北野
「たしかに少ないですね。うちでは、不安があると本やネットで調べたり、友達に相談したりしましたね。でも、ほとんどが心配なままで、手探り状態でしたね」
ママの里・榊原さん
「もちろん、電話などの相談窓口が無いわけではないのですが、平日だけだったり、日中だけだったりなど、相談できる時間が限られている場合がほとんどなのです。平日の9時から5時に悩むわけじゃなく、子育ては24時間いつでも心配ごとがでてきます。昼間は比較的大丈夫だけど、夜になると子どもが泣き止まなかったり、ママの不安が強くなったり。
だから、切れ目のない支援をしようということで、24時間の電話相談と宿泊で、夜のケアもできるようにしました」
【3】健康教室(産前産後ケアセンター ママの里)
パパやる・北野
「3つめの教室については、どんなことが行われているのですか?」
ママの里・榊原さん
「産前の女性、マタニティの方を対象に健康教室を開催しています。赤ちゃんが生まれると忙しくなるけど、妊娠中はお勉強しやすいですよね。お仕事をされている方も、産休に入れば時間が取れると思います。そんな時期にご参加頂いています。
赤ちゃんが生まれたらどんな生活になっていくのかを夫婦で考えていく『夫婦力アップ講座』。そして、生まれる前にコツを学ぶ『授乳講座』。
また、出産に向けて身体の調子を良くして行くのが大事なので、『腰痛講座』であったり、冷え対策の『ポカポカクラス』。他には、中国の薬膳の勉強をして資格を取得したスタッフによる『薬膳講座』もあります。薬膳は、ふだんスーパーで買えるものや旬な野菜を使って、今の時期はどんな野菜をどんな調理で食べると良いかをお伝えしています」
パパやる・北野
「いろんな教室があるんですね! 僕は、妻の出産前に、授乳やおむつ交換、沐浴を学ぶ講座を夫婦で経験しましたが、こんなに種類は無かったですね」
ママの里・榊原さん
「あと、産後はおっぱいの悩みが多いので『母乳アップクラス』もあります。それと『ベビーマッサージ』も。1歳までのお子さんを月齢ごとに分けて、生後1〜4か月、5〜8か月、9〜12か月ごとにベビーマッサージを行っています。15名定員で、いつもいっぱいの人気クラスです」
産後の妻へ、夫がすべきこと
パパやる・北野
「パパがすべき、ママに対するケアはありますか。男性はどんな関わり方をすればいいのでしょう?」
ママの里・榊原さん
「まず大切なのは、子育てはお手伝いではなく、夫婦で一緒にやって行くということです。
おむつを替えたり、お風呂に入れたりするのもいいけど、24時間のなかでそれらはわずかな時間ですよね。数分とか、數十分とか。もちろんやらないより良いのですが、やるからには一連の流れをやって欲しいです。
お風呂から「はい、ママお願い」と渡して終わるのではなく、ちゃんと赤ちゃんの身体を拭いて、お洋服を着せるところまでやって、お風呂に入れる、なのです。
あと家事に関しても同じです。たとえば「ゴミ出し」で、しばってあるのを出すのではなく、ゴミを集めて、袋に入れて、それをしばって出す。何曜日に何のゴミかを把握して、一連の流れをやる。洗濯も、脱いだものを洗濯カゴに入れるだけでなく、洗濯機のスイッチを入れて、干すところまでやる。食器も下げたら、洗う。
これまで奥さんがやってくれて当たり前だったことも、自分のことは自分でするようにしてください」
パパやる・北野
「自分のことは自分で……。男性は、ゴミ袋を出すだけで家事をした気になっている方は多そうですもんね。
ところで相談なのですが、産後、女性の機嫌が悪くなるというか、イライラしがちなのは、どう対処すれば良いのでしょう。僕は当時、結構悩んだ経験がありまして、ほかの多くのパパも似たような経験をしているのではないかと思います」
ママの里・榊原さん
「旦那さんが無理解というわけではないけれど、男性の思考と産後の女性の思考がたぶん違うのです。気が回らないいのか、気が付かないのか、ママは『言わないでもやって欲しい』と思っています。子どもが泣いてたら、サッとあやして欲しいのです。
男性は『やって欲しいなら言ってくれればいいじゃん』といいます。そういうヅレがあるのかなぁ。女性は赤ちゃんの泣き声でパッと反応して動きますが、男性は『今はなぜ、泣いているのだろう』と原因を探るところから入りがちです。ほんの何秒かのタイムラグだけど、ママにとっては、それはすごく大きく感じてしまうんです」
パパやる・北野
「あぁ……。それ、わかります(反省)」
ママの里・榊原さん
「『旦那さんになかなか大変さをわかってもらえない』という悩みを持つママもいるのですが、その場合、私たちは夫婦ふたりを前にしてお話をします。
『お産のあと、本当は休んだ方がいいんだよ』とか、『産後はホルモンのバランスが変化するので、そこが安定するまでは、自分の意思とは関わらず涙がポロポロ出たり、眠れなくなったり、そういうことが起きやすいのを知っておきましょう』とか。
ふたりに話すことで、旦那さんにも理解を深めて頂こうというのが狙いです」
パパやる・北野
「新米パパとにとって、ここでは意識をグッと高めることができそうですね」
パパから、産後の妻に宿泊をプレゼントしては
今回の「産前産後ケアセンター ママの里」での取材は、以上です。
僕は、センター長・榊原まゆみさんの想い、施設の充実っぷり、そして実際に宿泊されていたママたちの笑顔を見て、「素晴らしい!」と感銘を受けました。
こうした施設は、山梨県以外にもあるとのことです。
男性の皆さん、奥さんの妊娠がわかったら、ぜひ地域の産前産後サポート施設や教室・講座などをリサーチしてください。そして、積極的に利用してみましょう。
山梨県の「産前産後ケアセンター ママの里」で、3泊4日の宿泊ケアを利用した場合、補助金対象になると料金は20,300円になります。頑張っている奥さんへのプレゼントにしてはどうでしょう。他の地域の方も同様に。
ここでは、とても素敵な経験をすることができました。ありがとうございました!
「産前産後ケアセンター ママの里」についての詳しい情報は、公式サイトをご覧ください。
■関連リンク
産前産後ケアセンター ママの里
山梨県笛吹市石和町窪中島587-112
TEL:055-268-3575
それでは、次は第3話。新日本三大夜景のひとつにも選ばれている「笛吹川フルーツ公園」のレポートをお届けします。子どもと遊ぶのには最高のスポットです!
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