自分の妻を人に紹介するときや文章として書く際、どう表記するのが正しいのでしょうか。
嫁、女房、奥さん、カミさん、家内など、たくさんの言葉があります。
実は、夫が使う言葉として適しているのは「妻」のみなのです。ではなぜ、いろいろな呼び方があるのか?
この疑問に対して、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」でわかりやすく解説されていました。一部ご紹介します(2021年12月25日放送)。解説してくださったのは、大東文化大学の山口謠司教授です。
正しい表記・呼び方は「妻」だけ
まず、正解の「妻」について。
役所などで配られる公的文書や六法全書には「妻」と記載されています。たとえば、婚姻届にも「妻になる人」の欄があります。
つまり、正しい表記・呼び方は妻という訳です。
余談ですが、日本で最も古い呼び方も妻。およそ1,300年前、西暦700年代前半に編纂された日本最古の歴史書「古事記」に『妻』と書かれているのです。
では、妻以外の言葉は、それぞれどういう意味なのでしょうか。
嫁とは
嫁とは「自分の息子の妻」という意味。基本的には、夫の父母が使う言葉となります。
嫁の語源は、自分の息子に嫁いでくれた良い娘。良い女(よいめ)から、嫁になった。
女房とは
女房とは「使用人の女性」という意味。
平安時代に現れた言葉。当時、身分の高い貴族は、妻以外にも食事や身の回りの世話をする使用人の女性を屋敷に住まわせていました。その際、住んでいた部屋を「房(ぼう)」と呼んでいたため、女房となった。
奥さんとは
奥さんとは「使用人が用いる言葉で、屋敷の主人の妻」という意味。
奥さんの由来は、室町時代にさかのぼります。当時、身分が高い屋敷の主人は、パートナーの女性を屋敷の奥の方に住まわせました。使用人の女性たちは敬意を込めて「奥方(おくがた)」と呼ぶようになった。それがやがて、奥様や奥さんへと変化していきました。
カミさんとは
カミさんとは、目上の人を表す言葉。
自分より目上の人「上様(かみさま)」が変化してできた言葉で、パートナーとの対等な関係を築く現代社会においては適さない言葉と言えます。
家内とは
家内とは「家の中にいる人」という意味。
明治時代に入ると、男性は家の外で働くようになり、女性は専業主婦として家を守るという夫婦の形が出てきた。これにともない、パートナーのことを家内と呼ぶようになった。現代社会においては、多くの女性が社会進出しており、「女性は家の中にいるのが当たり前」と決めつけるのは適さない。
なぜ夫は、妻のことを嫁というのか?
山口謠司教授は、夫が自分の妻のことを嫁と言うようになった背景には、両親の影響があるのではないかと言います。
両親が「最高のお嫁さんね」などと言うのを耳にし、自分も知人に妻を紹介する際に「うちの嫁です」と言うようになった。それが浸透し、さらにたくさん呼び方ができた、と。
正しい使い方
- 夫の親「最高のお嫁さんね」
- 夫「最高の妻さ!」
間違った使い方
- 夫の親「最高のお嫁さんね」
- 夫「最高の嫁さ!」
この記事を読んでくださっている既婚男性は、妻のことを何と呼んでいますか?
僕は大阪出身・東京在住です。大阪では、妻のことを嫁と呼ぶ夫が大半ですので、僕もしばらくは「嫁さん」と言っていました。本ブログ「パパやる」でも、つい最近まで嫁さんと表記してきました。
妻というのは、気恥ずかしかったのです。
しかし、東京では「妻」と呼ぶ方が多いので、僕も結婚11年目・息子が7歳になってやっと他人と喋るときに「うちの妻が……」と言うようになりました。
とはいえ、大阪に帰省したときは、まだ「うちの嫁さんが……」に戻ってしまうだろうなぁ。