母子手帳には、「はちみつは乳児ボツリヌス症を予防するため、満1歳未満までは使わない」と書かれています。小さな文字で。
こうした「1歳未満にはちみつを与えてはいけない」と、政府が保護者や児童福祉施設等に対して指導を始めたのは1987年(昭和62年)10月20日からです。そのため、1987年までに生まれた方は、「0歳のうちははちみつ食べさせてはいけない」とは育てられていません。
■関連リンク
厚生省(現在の厚生労働省) の当時の通知
生後6ヶ月の赤ちゃんが、はちみつを食べて死亡
先日、とても悲しい乳児の死亡事故が報道されました。
死亡したのは東京・足立区の生後6か月の男の子です。
東京都によりますと、ことし2月、都内の医療機関から「入院している男の子に神経症状が出ていて、離乳食として蜂蜜を与えられている」と保健所に連絡がありました。男の子はけいれんや呼吸不全などの症状が見られ、先月30日に死亡しました。
男の子は発症する1か月ほど前から離乳食として蜂蜜を混ぜたジュースを与えられていて、男の子の便と自宅に保管していた蜂蜜からボツリヌス菌が検出されたということです。保健所は7日、男の子の死因は乳児ボツリヌス症と断定しました。
乳児ボツリヌス症で全国初の死亡例 蜂蜜が原因か 東京 | NHKニュース
(【追記】記事公開終了しました)
- 生後3〜4ヶ月頃 – はちみつを混ぜたジュースなどを与えはじめる
- 生後4〜5ヶ月頃 – けいれんや呼吸不全などの症状がでる
- 生後6ヶ月 – 死亡
ニュース記事から逆算すると、上記の時系列になります。きっと赤ちゃんの健康に良かれと思って与えていたのでしょう。とても辛いニュースです。
冒頭でも書いたとおり、現在30歳以上の親は「はちみつは満1歳未満までは使わない」と育てられていないので、実家の両親も知らない可能性があります。また、母子手帳に書かれている警告も、非常に小さな字で書かれているので、見落としてしまいがちなのです。
僕たちも、わが子を授かるまで、0歳児がはちみつを食べては行けないとは知りませんでした。
1歳未満の乳児にみられる乳児ボツリヌス症
ボツリヌス菌についての詳しい情報は、東京都福祉保健局のウェブサイトに詳しく書かれています。押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- ボツリヌス菌は、土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌。
- 低酸素状態に置かれると、発芽・増殖が起こり、毒素が産生される。
- 乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児にみられる。
- ボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖。
- 便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、 哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴。
- 蜂蜜以外、原因食品が確認された事例はほとんどない。
■関連リンク
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum):東京都福祉保健局
食品アレルギーの原因食材にも注意
合わせて知っておきたい、乳幼児への食材はアレルギーの原因となる食材です。
初めて与える食材は、「一品づつ」「一口ずつ」「平日の午前中」に与えるのがポイントです。平日の午前中としているのは、症状が出た際、病院へ駆けこみやすいからです。
現在、政府は食品アレルギー対策として、特定原材料(7品目)・特定原材料(20品目)を加工食品に原材料表示を義務付けています。
■特定原材料
乳、卵、小麦、えび、かに、落花生、そば
■特定原材料に準ずるもの
牛肉、鶏肉、豚肉、オレンジ、あわび、いか、いくら、さけ、さば、りんご、キウイフルーツ、バナナ、もも、まつたけ、やまいも、ゼラチン、くるみ、大豆、ごま、カシューナッツ
アレルギーの原因はこればかりではありませんが、離乳食は与え方に注意する必要があります。
とにかく妊娠中・子育て中の方は、まずは母子手帳をしっかりと読んでみてください。そして離乳食として加工食品を利用する際は、注意書きに必ず目を通すようにしましょう。
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