まず、この映画は子育てとは関係ありません。出演者は老人ばかり。しかも人生のエンディングに近づいている男女5人の物語です。
なぜ、この映画を紹介するのか?
最近、人の誕生や死が、どうも身近に感じるのです。年齢のせいでしょう。現在40歳となり、人生の折り返し地点に立ち、人の一生というのを俯瞰して捉えるようになりました。
少し前までは、老人なんてトンデモナく先のことだと思っていましたし、学生の頃は、40歳の自分なんて到底想像できませんでした。そういう今も、70歳、80歳の自分がイメージできるか?と言われれば、皺だらけの自分は想像出来ません。
モノゴトをゴールからイメージする。
社会に出て仕事をしてゆくうちに、仕事の仕方というのが身に付いて来ます。計画があって、目標を立てて、達成に向けて進行する。目の前のことだけに注力するのではなく、イメージしたゴールに向かって進むようになります。
人生と仕事は違います。死をイメージしながら、日々を暮らすなんてのは凡人には出来ないですし、それは奇妙なことでしょう。
戦国時代の織田信長は「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」という詩を好み、本当に49歳で亡くなりました。志なかばにして世を去りましたが、まさに天晴と言える生き様だったといえるのではないでしょうか。
友達がいる方が、人生豊かにおくれる。
映画「みんなで一緒に暮らしたら?」を観ながら、最もグサッと刺さったことは、「70歳を過ぎても、やっぱり持つべき者は友達なんだなぁ」ということ。
大人になると、子どもの頃や学生の頃のような、無邪気な友達関係というのが少なくなって来ます。段々と背負うものが大きくなってゆき、遊んでばっかり居られないという現実の中、友達関係はどんどん後回しになって行くんです。
夫婦のパートナーに先立たれ、友達もおらず、年老いた自分がひとりポツンと生きている。そんな想像はしたくありません。
歳を取れば『老い』という逃れられない分厚い波にのまれます。決して逃れることが出来ません。病気になったり、パートナーに先立たれたり、ボケてしまったり。でも、友達は大切しておくべき。家族とは違うけど大切な人間関係。映画を通じて友達の重要性をシミジミと感じました。
決して、重苦しい映画ではありません。笑える場面もあります。高齢の方は「老人あるある」的に面白い(?)かも知れません。
仕事のようにはイメージ出来ない人生のエンディングですが、本映画をみて、そんな老後の世界を垣間みるのも良いのではないでしょうか。子育てをされている方の多くは、人生の中盤戦で、誕生とエンディングの両方を意識されている方は多いと思いますので。
最後に、高齢とはいえジェーン・フォンダ演じるジャンヌ。舌をペロッと出して写真を撮られるシーンなど、可愛らしいなぁと思っちゃいました。撮影当時は73歳くらいだと思うのですが。しいていうなら、可愛げのある老人をめざしたいですね!