働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト日経DUALに掲載された、川上未映子さんの「主人という言葉が心底嫌い」という記事が波紋を呼んでいます。
川上未映子さんは、2008年「乳と卵」で第138回芥川龍之介賞を受賞した女性作家です。子育て中の方は、彼女自身の出産・育児を綴ったエッセイ「きみは赤ちゃん」をご存知の方は多いのではないでしょうか。
さて、そんな川上未映子さんの記事というのはこちら。
どう考えても「主人」というのは従属関係を示す言葉で、自分が相手より劣った存在である、身分の低い存在であるということを表す言葉だ。この言葉がふつうに使用されているのを聞くのは、かなりしんどい。
(中略)
ふだんから無意識に「主人、主人」なんて言ってると、知らないうちに奴隷根性がすりこまれて、ここ一番というときに自立心が発揮できなくなる気がする。
これに対して、ネット上では「同じ思いでスッキリしました」「私も『主人』に違和感あり派でした」など、よくぞ言ってくれたという声がある反面、「言葉狩りだ」と反論する意見があったり、「相手の夫に言及する時の丁寧語が、どうしても『ご主人』『ダンナ様』になってしまう」と困惑するようすなど、多様な見方がありました。
主人もダメ、嫁もダメ
川上未映子さんは、さらにこう続けます。
嫁という言葉は個人との関係を示す言葉ではなく、言うまでもなく家を中心にした言葉。
自分の妻のことを嬉しそうに「嫁」と言った瞬間、わたしのなかでその男性作家の知性は最低ランク、さらに枠外に落ちて、金輪際、まともに話を聞く気も失せる。
グサリ! ……です。
と言うのも、僕はいつも「嫁さん」と言っているからです。パパやるでも「嫁さん」と「ママ」を使い分けていて、「妻」は文脈によって時々使っている程度です。
ただ、役所などのお堅い場で話すときは妻を使います。また、依頼を受けて原稿(育児系のコラム)を書くときも妻を使っています。
僕は、妻……と口に(文に)するのが、なんとなくむず痒くて恥ずかしいのです。
嫁ハンは、大阪弁(関西弁)?
僕は大阪出身です。
33歳まで大阪で暮らし、サラリーマン生活も送っていました。ごく一部の上司で「僕の妻はね……」と妻を使う方がいましたが、大抵は「嫁さん」とか「嫁はん」でした。年配の方にいたっては、親しみを込めて「オバハン」って言う人もいましたね。
今朝、フジテレビの「ワイドナショー」を見ていると、司会をつとめるダウンタウンの松本人志さんが、会話の中で自分の妻のことを「嫁」と言っていました。
大阪人や関西人にとって「妻」と言うのは、慣れない標準語を使うような感覚で、ちょっと気恥ずかしいのではないでしょうか。
とはいえ、川上未映子さんも大阪出身
以前、NHKの番組「SWITCHインタビュー 達人達」で、川上未映子さんが登場した回を見たのですが、彼女は大阪弁でした。Wikipediaによると彼女は大阪市城東区出身とあります。城東区は大阪城の東隣。バリバリの大阪です。
ということは、大阪人(関西人)だから嫁でもOK、という訳でもなさそうです。
ところで話は飛びますが、ドラマ化もされ話題になったマンガ「コウノドリ」。この主人公のモデルになった産婦人科医師、荻田和秀先生が書いた書籍があり、そのタイトルは……
「嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本」
なのです。
嫁ハン……。
ダンナ……。
ダンナ(旦那)も主人に近い言葉ですよね。でもこの使用は、決して差別的では無いように思うのです。
嫁も主人も、言葉遣いを疑問に思ってみるのは大切
皆さんは、「主人」「嫁」に対してどう思いますか?
ただ、何気なく使っているこれらの単語ですが、疑問に思うことは大切だと思います。自分では丁寧な言葉遣いをしているつもりでも、相手によっては不快な思いをさせてしまうことがある、ということです。
僕は「妻」をメインに切り替えるのは、やはり気恥ずかしいのですぐにはしませんが、この問題提起に関しては、しばらく考えてみたいと思います。