精子と卵子を子宮外で受精させ、その受精した卵を子宮内に戻すことを体外受精(体外授精)といいます。不妊治療のひとつとして用いられ、1978年に初めてイギリスで成功し、その後日本では1983年に東北大学病院ではじめての体外受精による出産が成功しました。
日本国内において体外受精で生まれた赤ちゃんの累計は、2002年で10万人を突破し、2008年には20万人、2011年には30万人を超えました。2002年から2011年の10年間で、年間平均2万人の体外受精による赤ちゃんが誕生しています。
今や珍しいと言えない体外授精ですが、昨日、読売新聞に驚くべく体外授精の記事が掲載されていました。
息子の代理として、父が精子提供者に。
▼祖父の精子で誕生118人(2014年7月28日 読売新聞朝刊より)
“夫婦以外の卵子や精子を使った非配偶者間体外受精の実施を国内で初めて公表した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町、根津八紘やひろ院長)は、これまでに夫婦79組が、夫の実父から精子提供を受け、118人の子どもが誕生したとする結果をまとめた。31日、東京都内で開かれる日本受精着床学会で発表する。
同クリニックによると、1196年11月から昨年末まで、夫に精子がない110組が、夫の実父(50歳代~70歳代)の精子と妻の卵子で体外受精をした。子どもを得た79組中19組が2回以上出産した。移植1回当たりの妊娠率は38%だった。
祖父の精子で誕生118人…体外受精、17年間で:YOMIURI ONLINEより一部引用(【追記】記事公開終了しました)”
夫の父親から精子を提供してもらうという驚くべき体外受精法。もはや夫と妻、夫婦としての受精卵ではありませんが、法律的には問題は無いそうです(朝日新聞は日本産科婦人科学会の指針違反になる恐れがあると指摘)。
正確な血縁的に言えば、夫の立場からみると、妻と親父の子供は「腹違いの自分の兄弟」となってしまうので、なんとも不思議な気がします。とはいえ、より血縁をもとめるご夫婦にとっては良いのでしょう。ちなみに、匿名の第三者による精子提供者の実例は多く、日本ではこれまで1万に以上の赤ちゃんが産まれているそうです。
体外受精に掛かる費用、成功の確立、リスクなど。
1年前の記事ですが、ダイヤモンド社「書籍オンライン」に、体外受精事情に関する詳しい記事が掲載されていました。
- 人工授精と体外受精の違い。
- 人工授精の妊娠成功率は5〜8%。
- 体外授精に掛かる費用は40万円〜80万円。
- 保険適応外。自治体によって補助金がでる地域もある。
- 体外授精の妊娠成功率は20〜30%。
■関連リンク
→ 体外受精にかかるお金と病院側の意外な事情:ダイヤモンド社