これから日本はますます高齢化が進み、ご年配の方が今よりもっと増えてきます。そして僕自身も高齢者へ向かって歩んでいます。
「高齢者の方とうまく関わっていきたい。一緒に楽しみたい」「自分が高齢者になった時は、若い人と関わって面白おかしい日々を送りたい」
……と、漠然と思っているのですが、具体的には何も考えられていません。
でも、僕は毎日、歳を重ねて行っているわけです。
現在51歳です。
40歳で一人息子をもうけ、息子は今11歳になりました。
子どもは徐々に親の手を離れて行きます。例えばこれまで学校へ行くときは途中まで見送っていたのですが、今は「ついてこないで!」と玄関先で拒否されます。成長が嬉しくもあり寂しくもある、と言う段階に来たんだなぁと実感しています。
これまでは手取り足取り子どもに関わる機会が多かったのですが、今後は子どもへの関わりが減ってきて、自分のことだったり、夫婦のことだったり、中高年の社会でどう生きていくのかと言うことを考えるようになるのでしょう。
僕は30代の頃、音楽業界で働いていました。とても華やかな世界で、若者中心のコミュニティーの中で、人と関わり合いながら仕事をしてきました。そして40代になり、初めて自分の子をもうけ、あまりの可愛さから育児・子育てにどっぷりとはまりました。
そんな経緯があるので、僕はこれまで若者や子ども達に囲まれて生活してきたのです。
でもこれからは、「身体の半分を中高年の方に向けて、働き方やコミュニティづくりをしていかないといけないな」と考えています。でも、なかなかきっかけが無いんですよね。僕自身、子どもや若者との関わりに慣れ親しんできたので、中高年コミュニティーへどうやって参加させて頂いたらいいのかを知らないのです。
僕は今、51歳ですが、「あなたはこれから、60代・70代の方と一緒に仕事をしてください」と言われたら、どんな仕事をどのように進めていいのかわかりません。未経験なので。
そんな中、高齢者の方と素敵な対話ができる機会に巡り会えました。
ダイアログ・ウィズ・タイム 生き方との対話
それは、『ダイアログ・ウィズ・タイム』です。
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』(東京都港区)を中心に開催しているプロジェクトで、「たがいを認め、助けあう社会の実現」を掲げ、以下3つの柱で展開しています。
- ダイアログ・イン・ザ・ダーク
- ダイアログ・イン・サイレンス
- ダイアログ・ウィズ・タイム
僕は、これまで『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』『ダイアログ・イン・サイレンス』に参加したことがあります。

前者の『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』では、アテンド(案内人)を視覚障害者の方がつとめ、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”を探検し、視覚以外の様々な感覚、コミュニケーションを楽しみました。

後者の『ダイアログ・イン・サイレンス』は、聴覚障害者の方がアテンドです。静寂の中で、集中力、観察力、表現力を高め、解放感のある自由を体験しました。
そして、今回の『ダイアログ・ウィズ・タイム』は、アテンドは高齢者の方です。「豊富な人生経験を共有し、世代を超えた対話により、自らのこれからを考えるきっかけを生み出す」ということです。
僕はこれまで、両親や祖父母、親戚や近所の方くらいしか、高齢者の方と対話をする機会がありませんでした。これはとても新鮮な体験となりそうです。
80代って若い! お話するのが楽しい

さて、『ダイアログ・ウィズ・タイム』を体験しての一番の感想は、「80代ってお若い!」です。
案内人であるアテンドさんは、たくさんいらっしゃいます。今回、僕が出会えたのは86歳の男性と88歳の女性の方でした。お話する中で、戦争・大病・困難などをこれまで経験し、今に至っていることがわかりました。
ダイアログ・ウィズ・タイムの『ダイアログ』は、対話という意味です。
人生経験豊富なアテンドさんのお話を一方的に聞くのではなく、他の参加者さんを交えて皆で対話を重ねていきます。それがとても楽しい! アテンドさんとの年齢差が障壁となることはなく、和気あいあいといろいろなテーマでおしゃべりしました。
ネタバレになるので詳細は割愛しますが、「高齢者になるとはどういうことなのか」を自分ごととして考えることもできました。
今回、『ダイアログ・ウィズ・タイム』での体験を経て、僕自身、「歳をとるのも悪くなさそうだな。新たな出会いやチャレンジは年齢に関係なく訪れるから、加齢を悲観するのではなく、それを前向きにとらえて人生を楽しみたいな。そして、そんな高齢者さんって素敵だな」と感じました。
先に経験した『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』『ダイアログ・イン・サイレンス』も同様なのですが、ここに参加すると世界が広がるのです。僕はそれ以前、目が見えない方や耳が聞こえない方とは交流を持ったことがありませんでした。どうやって関わって良いのかわからない、と避けていたのかもしれません。
でも、ここでの体験を経て、そうした壁は取り払われました。
今はむしろ、積極的に関わりたいな、お友達になりたいな、と思います。
僕が80代になるまで、あと30年ほどあるのでまだ少し先ですが、今の段階で高齢者の方とも「今度ランチ行きましょう」と誘えるようなフランクが築けたら楽しそうです。
ダイアログ・ウィズ・タイムについての開催期間・場所・料金などの詳しい情報は、公式サイトをご確認ください。
パパやる「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム 対話の森」関連記事