火にかけたら安心、ではなかった! 2日目カレーで幼稚園児集団食中毒、加熱で死滅しないウェルシュ菌

カレーライスって、二日目が美味しいんじゃなかったの!?

東京都世田谷区の私立幼稚園にて集団食中毒が発生した、と東京都福祉保健局が公表しました。原因は、3月8日同園で提供されたカレーライスとのことです。

問題となったカレーライスは、前日に教職員と園児が調理し、「年長組を送る会」が催された昼食として提供されました。そのカレーライスを食べた、当幼稚園の3歳児、4歳児、5歳児クラスの園児67名、そして教職員9名の計76名が、当日の夕方午後6時から翌日朝にかけて、腹痛、下痢、おう吐などの症状が発生したのです。

前日に作ったばかりのカレーライスが、一体なぜ?

この食中毒の原因となったのが、ウエルシュ菌という細菌でした。聞きなれませんが、一体何者なのでしょうか。つい作り置きしたくなるカレーですが、ここに危険が潜んでいたのです。

ウエルシュ菌って何? 6時間の加熱にも耐える、加熱殺菌できない菌

カレーライス

ウエルシュ菌って、聞いたことなかったのですが、健康な人の身体のなかにもいるのだそうです。ただ、ウエルシュ菌が含まれる食品(特に牛、豚、鶏肉)を、大きな鍋などで加熱調理して、その鍋のまま室内で放冷された食品には、毒素(エンテロトキシン)の元となるウエルシュ菌が大量に増殖してしまうということです。

大量調理する飲食店、仕出屋、旅館、そして給食施設などで発生しやすいことから、『給食病』とも呼ばれています。特に原因となりやすい料理は、カレー、シチュー、スープ、めんつゆなど、前の日に仕込んでおく料理で発生しています。

そして、ここが大切なところですが、ウエルシュ菌の凄さ(怖ろしさ)は、加熱しても死滅しないということ。100度で1〜6時間加熱しても耐えるのだそうです。100度で数時間加熱なんて、料理ではあり得ないですよね。

食品は加熱すればとりあえず安心では無かったのです。

【感染・症状】ウエルシュ菌

潜伏期間:6〜18時間
症状  :腹痛、下痢

ウエルシュ菌予防は、室内での自然冷却・放置をしない

カレーが入ったお鍋

僕は学生の頃、居酒屋でバイトをしていました。肉じゃがやパスタ用のトマトソースの仕込みをよくさせてもらっていたのですが、大きな鍋で作って、できたらすぐに鍋ごと氷水につけて冷却していました。そして冷めたらすぐに冷蔵庫に。

僕は言われたとおりやっていただけなのですが、今にして思えば、ウエルシュ菌などの食中毒対策だったのですね。

ウエルシュ菌での食中毒予防としては、食べる日に作るのが良いということになります。

もし前日に作り置きする場合は、室内で常温で冷まして、そのまま放置はいけません。今回、幼稚園でおきた食中毒は3月上旬、冬に発生しています。寒い冬だからといって、油断はできないのです。

作り置きする食品は、すぐに冷却し、冷蔵庫で保存しましょう。大きな鍋が冷蔵庫に入りにくい場合は、タッパーウェアやジップロックなどで小分けすると良いでしょう。

でも、子育て中は子供が寝静まった深夜に料理を仕込んで、ついついそのまま常温放熱ってやりがちなんですよね……。気をつけないと。

■参考
東京都:報道発表資料
東京都:ウエルシュ菌について
東京都福祉保健局:ウェルシュ菌
食品安全委員会:ウエルシュ菌食中毒

【追記 3/21】

ウエルシュ菌は、給食などで増殖しやすいとのことですが、それは酸素が少ない環境を好む性質があるから。ですので、大きな器(大鍋)のまま室温で放冷されていた食品に発生しやすいのだそうです(参考:東京都 ウエルシュ菌について

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