わが家のひとり息子は、現在10歳です。
10歳になると、自分が好きなこと・ハマっていることが明確になったり、自分が所属したいコミュニティが醸成されたりしているなと感じます。
父親である僕自身も、幼少期を振り返ってみるとそうでした。この記事を読んでくださっているあなたは、10歳のころ、何に夢中になっていましたか?
雑誌『マイコンBASICマガジン』に投稿
僕は1973年生まれ。10歳の頃に、初代ファミリーコンピュータが発売された世代です。同級生はこぞって親に買ってもらい、友人同士でカセットを交換したり、友人宅に集まってゲームを一緒にプレイしたりしていましたね。
そんな中、僕のうちにはゲーム機が無く、その代わりにパソコンがありました。NECのPC-6001という機種で、1981年に発売された家庭用コンピュータ。当時はまだパソコンという言葉が一般的になる前で、本機は「パピコン」の愛称で呼ばれていました。買ってきたのは父で、おそらく発売直後に手に入れたのだと思うのですが、僕は8歳・小学2年生からNEC PC-6001に夢中になっていたのです。

その頃、愛読していた雑誌があります。電波新聞社が発行する月刊誌『マイコンBASICマガジン』です。通称『ベーマガ』。
このベーマガのメインコンテンツは「特選プログラムコーナー」。読者がゲームなどを開発し、そのプログラムを編集部に郵送。ベーマガ編集部に選ばれば誌面に掲載されるという流れです。ホリエモンこと堀江貴文さんも「中1の時に初めてプログラム投稿して一万円もらったのが一つの大きなきっかけ」と、X(Twitter)にベーマガの思い出をポストされていました。

僕は8歳からパソコンを使いはじめ、10歳になる頃には自分でちょっとしたゲームなら作れるようになっていました。しかし、投稿できるクオリティのゲームはまだ作れない。
だけど、僕はベーマガを愛していたので「なんとかして僕もベーマガに参加したい!」と、もがいていたのです。
ベーマガの「OFコーナー」に投稿、掲載!

そこで僕は、ベーガマの各ページの下にある「OFコーナー」という欄を目指しました。これは、読者アンケートハガキに編集部宛のメッセージを書いて、ポストに投函するだけです。
そして、見事掲載されました!
9歳の頃から何度か掲載されたような気がするのですが、40年ほど前の本誌はすでに処分済みで、今は確認ができません。もう見つけることはできないだろうな……と諦めていたら、Wayback Machineというウェブサイトで昔のベーマガの何冊を閲覧できるようになっていて、そこで見つけたのです!

これが、10歳の頃に投稿した僕のメッセージです。笑
この頃はインターネットが無かったので、雑誌はコミュニティとしての役割を持っていました。僕はこれにより、遂に念願のベーマガに参加できたのです! 小学3年生だったので、たったこれだけでもものすごく嬉しかったのを覚えています。
友だちには自慢せず、ひとりで喜びを噛み締めていたように思います。
10歳頃に夢中になったことは、大人になってからの興味・キャリア・価値観に大きな影響を与える
僕は、このときの経験が今の自分を作った、と大いに感じています。
雑誌や専門書を読み漁って、パソコンの操作、パソコンの仕組み、そしてプログラミングを独学で学びました。その結果、プログラムを自作し、パソコンを思い通りに動かすことができるようになったのです。つまり成功体験です。
そしてさらに、パソコンのコミュニティ(ベーマガ)へ読者アンケートハガキを通じて参加することができました。これも成功体験です。自己肯定感も高まりました。
小学3年生・10歳という幼かった僕は、「パソコンが好きだ!」「雑誌というコミュニティが好きだ!」という気持ちがたかぶり、しかもちょっと「得意だ」という気持ちもあったと思います。これをきっかけに、パソコンやコミュニティに対して関心や挑戦する気持ちを持ち続けることになったのです。
その後、僕は母親の影響でFMラジオに夢中になりました。洋楽にどハマりし、ラジオというコミュニティに憧れを抱いたのです。
その結果、社会人になってから、レゲエ専門のブログ「Yellow Jamaican」を立ち上げたり、レゲエ専門の会社ロッカーズ・アイランドからお声掛けいただきウェブマガジン「ROCKERS channel」の編集長になったりしました。
現在はフリーランスとして、自身のブログやYouTubeチャンネルなどを運営しながら、さまざまなメディアとお仕事をさせてもらっています。
思い返してみると、僕が8歳だった頃、父がNEC PC-6001を買ってきたことが僕のその後の人生の方向性を決定づけたのです。
そして今、僕はその当時の父親の立場になりました。わが家には10歳の息子がいます。「彼が今、夢中になっていることが、大人になってからの興味・キャリア・価値観に大きな影響を与えるのだろう」という想いで、息子を見守っています。
型にはめ過ぎず、余白を持って、子育てしていきたいですね。
20年後、息子と「こたろうは10歳頃から変わってないなぁ。子どもの頃から〇〇が好きで、ずっとチャレンジしていたよ」なんて話しながら、一緒に酒でも飲みたいなと思っています。
「こんにちはマイコン」は小学生の頃に大好きだったマンガ。「WAVE」は、大人になってから読んでめちゃくちゃ面白かったマンガです。昔のマイコン少年にはおすすめです!
マイコンBASICマガジン 関連リンク
僕の別のブログ「Swingin’ Thikin’」に書いたマイコンBASICマガジンについての記事です。ご興味があれば、ぜひ読んでみてください。