オンラインゲーム「フォートナイト (Fortnite)」を通じて、日本で性犯罪が起きました。
13歳の男子中学生がゲーム上で知り合った年上(32歳)と親しくなり、リアルで会うようになりわいせつな行為を受けたということです。
フォートナイトとは、生き残りをかけて戦うバトルロアイアルゲーム。フレンドとつながってチームを組み、ボイスチャット(通称:VC)で声を掛け合いながらチーム力で勝利を目指すのが醍醐味です。
フォートナイトに限らずですが、最近はオンラインで知らない人ともつながるゲームが多く、楽しい反面、犯罪に巻き込まれるリスクもあります。特に子どもは悪意を持った大人に騙されやすいので要注意です!
ゲーミングマウスを買い与え、児童売春
男性看護師が、フォートナイトで知り合った男子中学生を児童売春した疑いで逮捕されました。
直接お金を渡したわけではなく、「ゲーム用のマウス(ゲーミングマウス)を買ってあげ、その代わりとしてわいせつな行為に及んだ」ということです。
ゲーム用マウスを買い与え、当時13歳の男子中学生にわいせつな行為をしたとして、近畿大学奈良病院の看護師の男が逮捕されました。
児童買春などの疑いで逮捕されたのは近畿大学奈良病院の男性看護師・杉井明仁容疑者(32)です。
警察によりますと杉井容疑者はことし3月、兵庫県川西市の商業施設で、当時13歳の男子中学生に約2万円のゲーム用マウスを買い与えたうえで、施設内の駐車場に停めた車の中でわいせつな行為をした疑いが持たれています。
杉井容疑者と男子中学生は去年夏頃にオンラインゲーム「フォートナイト」で知り合い、SNSでやり取りをしていたとみられていて、保護者から「息子がネットで知り合った男性と変な関係になっている」と警察に相談があったということです。
調べに対し、杉井容疑者は「わいせつな行為をするためにゲームのマウスを買ってあげたことに間違いありません」と容疑を認めています。
2人は知り合ってから複数回会っていたということで、警察が余罪についても詳しく調べています。
読売テレビニュースより引用
フォートナイトは、面識がない他人と親密になりやすい
僕の憶測なのですが……
ふたりは結構仲がよかったのかもしれません。
なぜなら、ニュースにこう書かれていたからです。
- 一緒にマウスを買いに行った
- 複数回会っていた
もし、SNSを通じて突然「ゲーミングマウスを買ってあげるから会おう」と言われても、絶対に会わないですよね。怖くて。
しかし、フォートナイトはゲームの特性上、面識のない他人であってもフレンドになれば親密になりやすいという傾向があります。声で会話をしながら一緒にゲームをするだけでなく、勝利(ビクトリーロイヤル)するために助け合いながら頑張らないといけないからです。
つまり、戦友。
心が通じやすいのです。「フォートナイトでフレンドになり、何度も一緒にプレイする中で親しみや信頼関係が育まれていった」と、考えることができます。
そして、そこに落とし穴があります。
相手の警戒心を解くという罠が……。
33歳の大人からすれば、13歳の中学生を心をつかむ(騙す)のは容易だったのかもしれません。
フォートナイトの設定、フレンド招待許可を「誰でも」にしない
あなたのお子さんが「フォートナイト」をしている・したいのであれば、フレンド設定を変更しておくと安心です。手順を解説します。
- 画面左上の「三」(ハンバーガーメニュー)をタップ
- 画面左下のギアマークをタップ
- 設定をタップ
- 画面上の人型アイコン「アカウントとプライバシー」をタップ
- ソーシャルプライバシー「フレンド招待許可」を変更する
デフォルト(初期設定)では「誰でも」になっています。この場合、不特定多数のユーザーからどんどんフレンド申請が届きます。ここで嬉しくなって次々に許可していくと、知らない人だらけになってしまうのです。
ほとんどがゲームを楽しみたいユーザーかと思いますが、中には悪意をもって近づく人もいます。
子どもがそうした判断をするのは難しいです。そこでフレンド招待許可の設定を「誰も」「フレンドのフレンド」のいずれかにしておくと良いでしょう。
最も安心なのは、基本は「誰も」にしておいて、リアルな友達とつながりたいときだけ一時的に解除する方法です。しばらくしたら、お子さんと相談しながら「フレンドのフレンド」に移行しても良いでしょう。
とにかく「誰でも」は、やめておきましょう。
オンラインゲーム、親は子どもをどう見守る?
さて、子を持つ親として、子どものオンラインゲームに対して、どう取り組めばいいのでしょうか。
今のゲームは、親世代が子どもの頃とは時代がまるで違います。一見すると同じようにゲームをしているように見えても、そこはオンラインでつながるコミュニティー。ゲームはコミュニケーションツールでもあるのです。
しかも、ゆるいつながりではありません。
先ほど書いたように、苦楽を共にした信頼し合える「戦友」。非常に強いつながりが育まれます。
そしてそれはポジティブなものだけではありません、妬み・恨みなどが渦巻くネガティブな場合もあります。
ここで親がとれる選択肢は、主に以下の3つ。
- 一切させない(大人になるまで禁止)
- 子どもに任せる
- 親も一緒にやってみる
あなたは、どれを選びますか?
肯定的に親子で活用する
ところで、わが家の息子は、東京都世田谷区の公立小学校へ通っています。そこで「ネットリテラシー醸成講座」という勉強会が、保護者向けに毎年開催されています。
これはおそらく世田谷区教育委員会の取り組みで、区内の小学校・中学校で実施されていると思います。
その中に「保護者としてどうすべきかの指針」がありました。要点は以下のとおり。
保護者へのアドバイス
- SNSやゲームには年齢制限がある
- YouTubeは13歳以上、フォートナイトは15歳以上
- 親が叱ってばかりいると、子どもは後ろめたさを感じて、隠れて使うようになる
- 肯定的に親子で活用する
つまり、「親も興味を持って、一緒にやってみるとよい」ということです。
今は、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」や「ICT教育」により、小学生児童ひとりひとりにiPadやノートパソコンなどの端末が貸与され、学校や家庭で活用する時代。オンラインゲームやSNSを避けては通れません。
そこで、オンラインゲームやSNSを一切しない親が、子どもに「良し悪し」や「危険性」を教えることはできるでしょうか。ネットリテラシー醸成講座では、普段から楽しい話題として親子で話しておくのが大事だと言っていました。
先の3択は、3の「親も一緒にやってみる」が良さそうです。
最後に
冒頭に紹介した事件。被害を受けた中学生は大変なショックを受け、心身を痛めたことでしょう。傷が癒えることを切に願っています。