はじめての赤ちゃんが我が家にやってきた新米お父さん。世の中には沢山のお父さんで溢れているのですが、いざ自分の番がまわってくると、案外わからないことや、思っていた事と違う事が次々噴出して、あたふた。
そういう僕も我が子を授かるまで、赤ちゃんの世話の大半は「赤ちゃんを眺めているものだ」と思っていました。というのも、赤ちゃんは一日のほとんどを寝ていると勝手に思い込んでいたので、夫婦で「可愛いね〜」と赤ちゃんの寝顔を見て、毎日を過ごすものだと想像していたのです。
しかし、いざ赤ちゃんが家にやってくると、穏やかな時間なんてほぼ皆無!24時間体勢で泣くし、寝かしつけるのが超難しいし、何故かベッドに置いた瞬間起きるし、ちょっとした物音で起きて号泣するし、とにかく夫婦ふたりで疲労困憊していました。
このように「みんなやってるし、まぁ大丈夫でしょ」と高をくくっていた僕の思惑は、子育て、夫婦関係、家庭内の様々な場面で打ち砕かれてゆきました。
産後、読んで良かった!と思った名著2冊を紹介。
色々読んだ本の中から、新米パパはぜひ読んで欲しいと思える、優れた2冊の本に出会いました。
今回、まずは「新しいパパの教科書」を紹介したいと思います。この本は、息子が生まれて8日目。区役所に出生届を提出した帰りに買ってきました。
数年前まで、子育てをするパパは稀な存在だった。
本書「新しいパパの教科書」の、はじめににこんな事が書かれています。
“子育てをするパパは、ほんの数年前まではまれな存在でした。かつてのパパはこう言います。「子連れでスーパーに買い物に行ったら周囲から怪しい目で見られた」「父子旅行中に出会った女性から『ママがいなくてかわいそうね』と言われたと。
新しいパパの教科書 より引用”
最近は、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えていたり、ベビーカーを押している男性をよく見掛けるようになりましたが、思い返してみると数年前はあまり居なかったように思います。近年、イクメンという言葉がメディアなどで度々出てくる背景を考えてみると、「男性も育児をしているぞ!」という実情が珍しいので、話題になっていると言えるでしょう。
本書は、Fathering(ファザーリング)=「父親であることを楽しむ生き方」を提唱する、NPO法人ファザーリング・ジャパンによる著書です。育児をする男性はまだまだ少数派と書かれていますが、確かに書店の育児コーナーへ行くと、女性向けの本が9割以上を占めていると感じます。本書は、時代の転換期を象徴するような本であると言えるでしょう。
NGワード「手伝ってあげようか」
さて、本書の内容を少しご紹介します。
子どもが生まれると、これまでの夫婦だけの家族環境とはガラッと変わります。そこで父親である夫は何をすべきか。抱っこ?お風呂? それらも大切ですが、最優先事項は『ママのケア』です。ママの気持ちに耳を傾けることが大切。「頑張ってね」といった指示ではなく、「いつもありがとう」「助かっているよ」というねぎらいの言葉を遠慮せずに伝えましょう。
そして絶対言っては行けない言葉は「手伝って上げようか?」です。
この言葉の裏には「育児はママの役割。俺の仕事ではない」という意識が隠れているので、奥さんはカチンと来てしまいます。また「ウンチしてるよー」「泣いてるよー」と、口だけではなく男性も自ら動くことが大切です。その積み重ねにより、奥さんは夫のことを頼もしい人だと感じるようになります。
オムツ替えは、親子の信頼を築くチャンス!
昔気質の男性であれば、「男がオシメなんて…」という方も居るでしょう。実際、オムツ替えしている男性でも、おしっこだと大丈夫だけどウンチだと途端に奥さんを呼ぶ、なんて男性も多いようです。
このオムツ替えは、単に育児のひとつではありません。本書によると『おむつを替えてくれるということは、赤ちゃんからすると、自分の不快を取り除いてくれるということ。親子の信頼関係も、ここで育まれる』とのことです。
育児や家事は、離婚のリスクヘッジになる。
女性は出産後、愛情が子どもに向かい、夫に対する愛情が薄れてしまいます。しかし、夫が乳幼児期に子育てにしっかり関わる事で、妻の夫への愛情が回復してくるそうです。逆に、この間育児に無関心でいると、夫への愛情は低迷したままになってしまいます。
また、既婚女性に対する意識調査で、「もし現在あなた(妻)に十分な収入があれば、夫と離婚したいですか?」の質問事項に対して、家事をしない夫を持つ妻は47%が離婚したいと答えたのに対し、家事をする夫を持つ妻は13%と、大幅な差がありました。
男性の育児参加。実は国家プロジェクト!
イクメンって、どこかの起業やメディアが流行させた言葉かと思っていたのですが、流行の切っ掛けは大臣の発言だったそうです。2010年1月、当時の長妻厚生労働大臣が「イクメン、家事メンをはやらせたい」と発したのが発端。その後、厚生省が「イクメンプロジェクト」を発足し、今の流行に至るようです。全然知らなかった…。
政府がイクメンを推進する背景に、「男性が積極的に育児をすると、ふたり目以降も生まれやすくなる」というのがあるそうです。また、日本人男性の育児時間は、世界的にみると世界最低水準という悲しい実態も明らかになりました。アメリカやヨーロッパの父親は、家事と育児に一日平均3時間前後費やしています。それに対して日本人男性は、一日平均1時間程度です。政府は2020年までに、これを2時間半にするのを目標としています。
構成・編集がうまくて、すごく読みやすい!
本書の特徴は、その内容が素晴らしいだけでなく、構成や編集がうまく、非常に読みやすくつくられています。
- 記事タイトル
- パパの疑問 1・2・3
- 本文(見出し+文章+蛍光マーカー)
- 今回のまとめ
パッと見ただけで、ページの内容やポイントが一目瞭然です。最近のウェブ記事のような構成なので、スマホ世代にも受け入れやすいでしょう。また、専門家や育児中のパパママのインタビュー、Q&Aなどのコラムも間に入っているので、テンポよく読み進めることができます。
子どもの成長は早く、育児は後から取り戻せません。ぜひ早めに読んで知識武装した上で、張り切ってパパを励むのが得策です。育児を通じて、充実した人生を!