少子高齢化が進む日本において、社会保障制度の破綻や、労働者の割合が低下する事による国際的競争力の低下などが懸念されています。そんな中、政府は「少子化対策」や「女性の活用」に取り組んでいるのですが、まだそれほどうまく行っていないのが現状です。
子どもを生まない理由のひとつに「お金が掛かりすぎる」という問題があります。お金の問題であれば、夫婦共稼ぎなど家庭内の労働力を増やせば良いのですが、「保育園不足で子どもを預かってもらえない」という現実に直面し、結果、「子づくりを諦める」「仕事を諦める」という選択になってしまいます。
また、昔は「夫が外で働いて、妻は家で家事と育児」というのがスタンダードだったと思うのですが、今は出生数が低いにも関わらず保育園が足りないというのは、「働かないと生活出来ない」という家庭が増えているという事情が背景にあるのでしょう。
いずれにせよ、今、保育園は需要があるのに、なぜ作らないのでしょうか?最近、話題になっている記事とニュースをご紹介します。
保育所は、なぜ需要があるのに増えないのか?
大学にある保育所の運営にかかわっている東京大学教授、瀬地山 角氏の記事が東洋経済オンラインに掲載されています。
<ポイント>
- 土地生産性が低く、儲からない。
- 若者の選挙投票率が低いので、政治家は高齢者への補助金を重視。
- 認可外保育士の年収は、公立に比べて半分〜3分の1。
- 保育所をつくるより、駐車場にした方が儲かる。
若者や子育て世代の選挙投票率が低いというのは、耳が痛い方もいるかと思います。政治家はとにかく選挙に勝たないと行けないので、投票率の高い層を支援するのは必然です。そのため、認可外の保育園に対しての補助金が薄いなど、保育園を経営しても利益が出ない(経営が苦しい)という現状があり、新設が増えないということです。
しかし、更地のまま駐車場にした方が儲かるとは、その薄利具合に驚かされました。
隣に保育所、迷惑ですか? 騒音や事故懸念で建設難航
朝日新聞で2014年6月3日に報じられたニュースです。
- 隣に保育所、迷惑ですか? 騒音や事故懸念で建設難航(【追記】記事公開終了しました)
<ポイント>
- 住民の反対による、保育園建設が中止が増えている。
- 静かに暮らせない。送迎の車が増えて事故の危険性が高まる。
- 対策を考えて住民に提示するも、折り合いがつかない。
新設への反対だけでなく、既存の保育園に対しても「騒音」「給食の臭い」「園舎が明るすぎてまぶしい」など、苦情が寄せられているようです。保育園としては、防音や排気設備、駐車場の設置など対策は打っていても理解を得るのが難しいとのこと。
確かに自宅で育児をするにあたっても、赤ちゃんの泣き声や叫び声など、「近所の人に迷惑にならないかな」とすごく気になります。保育園ともなれば大きな規模なので、近隣住民や街ぐるみで良い関係性が築いておかないと相当難しいということなんですね。
政府は、そもそも保育園を増やす気がない…という説も。
5年ほどまえの記事ですが、社会派ブロガーのちきりんさんが、こんな記事を書かれています。
“安倍元総理とか典型的ですけど、保守系政治家の中には「子供は母親が自宅で育てるべき」という信条を強くもっている人がたくさんいるんです。
保育所とは、やむを得ず働かざるを得ない母親や家庭のために整備するものであって、「そんなものをたっぷり作って、子供のいる母親がみんな仕事を持つのが当然、みたいな “すさんだ世の中” になったら大変だ!」という感覚があるんですよね。
保育所が永久に足りないであろう理由:Chikirinの日記より一部引用”
今や安倍現首相はアベノミクス戦略で「女性の活躍支援」を掲げているので、方針は大きく変わっているように見受けられます。とはいえ、「女性は家で家事と育児」という主張を持つ政治家もいるんだろなぁ、と確かに感じます。
とにかく、保育園不足は積年の課題。まだまだ問題解消への道のりは遠い印象です。
■パパやる参考記事
世田谷区役所へ相談。認可保育園に入れる?入れない?待機児童数、倍率、最適時期など。