わが家の小学5年生の息子が、担任の先生から「20秒以内で直せないことは、他人に言ってはいけない」という趣旨のルールを教わってきました。
息子からその話を聞いたとき、思わず「なるほど! これはナイスアイデアだ」と驚きました。人に言っていいこと・悪いことの判断が難しく、言葉の選び方を迷う子どもたちにとって、とてもわかりやすい基準だと感じたからです。
このルール自体が息子の担任の先生の完全なオリジナル、という訳ではないかもしれません。教育界では既に知られた考え方なのかもしれませんが、僕も息子も初めて耳にしました。そして、子どもにも大人にも役立つ視点だと感じたので、ブログでシェアしたいと思います。
「20秒以内で直せないことは言ってはいけない」の意図
「悪口はダメ」「人の気持ちを考えて」という指導は正しいのですが、子どもにとっては判断が難しいものです。何が悪口なのか、どこからが人の気持ちなのかは、とても曖昧だからです。
そこで登場するのが、この『20秒ルール』。
20秒という、子どもでもすぐにイメージできる時間を基準にすることで、「これは言っていい? 言わない方がいい?」と自分で判断しやすくなります。
抽象的な道徳を、子どもの生活に落とし込んだ、とても優れた基準だと思います。
息子にもう少し聞いてみると「太っているね」「髪型が変だね」などは、20秒で直せないから言ってはいけないそうです。なるほど! とてもわかりやすいです。
20秒以内で直せること・直せないこと
この20秒ルールに沿って「言ってもいいこと」「言ってはいけないこと」を考え、いくつかの例を挙げてみました。
20秒以内で直せること(=言っていいこと)
これは、言われた側もすぐに対処できる『ちょっとした気づき』です。
- 「教科書、ページ違ってるよ」
- 「シャツが出てるよ」
- 「ランドセルのふたが開いてるよ」
- 「鉛筆、落ちてるよ」
- 「消しゴム、落ちそうだよ」
- 「ここ、順番こっちだったよ」
こうした注意は、言われる側にもメリットがありますし、トラブルにはなりにくそうです。
20秒以内に直せないこと(=言わない方がいいこと)
これは、指摘されても直せない事柄です。相手を深く傷つけてしまう可能性が高いと言えます。
外見のこと
- 「背が低いよね」
- 「デブだね」
- 「鼻がデカいね」
- 「歯並び悪いね」
- 「靴が汚いね」
性格や行動のクセ
- 「すぐ泣くよね」
- 「いつも暗いよね」
- 「ビビリだよね」
- 「男みたいだよね(女みたいだよね)」
- 「落ち着きがないよね」
能力・得意不得意に関すること
- 「足が遅いね」
- 「勉強ができないね」
- 「音痴だよね」
- 「記憶力悪すぎ」
- 「ゲーム下手だよね」
友達関係に関すること
- 「なんであのグループにいるの?」
- 「お前、なんでいつも一人なの」
- 「あの子と仲良いの、変じゃない?」
- 「友達少ないよね」
家庭環境に関わること
- 「お前んち、金なさそう(貧乏そう)」
- 「家、狭いよね」
- 「服いつも同じじゃない?」
- 「お父さん〇〇なんでしょ」
- 「え、まだキッズ携帯なの?(持ち物を揶揄)」
これらは、20秒ではどうにもできない部分ですし、そもそも他人が軽々しく触れて良い領域ではありませんね。
家庭でも取り入れたい『20秒ルール』
小学5年生の息子は、担任の先生から教わってきた『20秒ルール』。
シンプルで明快!
誰もが迷わず、同じ判断を下せるのが素晴らしいですね。
子ども同士の価値観や距離感は日々変わっていきます。そんな中で、このルールは「相手を傷つけずに関わるための一生使えるルール」として、大人になっても役に立つように感じました。
もちろん、日常の中で「20秒では直せないけど、気になるなぁ」という場面が全くない訳ではないでしょう。そんなときは、先生や親に相談して、相手を傷つけない伝え方を一緒に考えても良いかもしれません。
わが家でも、息子とこの『20秒ルール』を振り返りながら、言葉の使い方を一緒に考えていきたいと思います。





















