「子供の声は騒音なのか?」
3年前、世田谷区の保坂展人(ほさかのぶと)区長がTwitterで問題提起し、反響を呼びました。世田谷区は日本で最も待機児童数が多い自治体です。それを解消するため、認可保育園の新設に取り組みますが、近隣住民の反対を受け、なかなか保育園が建てられないという問題に直面したのです。
「子供達の声くらいいいじゃないか」
そう思うかもしれませんが、簡単にはいきません。なぜなら東京都の環境確保条例で、「何人(なんぴと)も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」と定められているからです。具体的には、環境確保条令第136条で、騒音規制基準値『第一種低層住居専用地域 8〜19時 45デジベル』と定められており、ここには子供の声も含まれています。
【条例改正】2015年4月1日から、子供の声が騒音規制の対象外に
保育所や公園での子どもの声を騒音の数値規制の対象外とする東京都環境確保条例の改正案が二十七日の都議会本会議で全会一致で可決された。四月一日から施行される。
対象外とするのは、小学校就学前の子どもと、一緒にいる親や保育士ら。保育所や幼稚園、児童館、公園などで出される声をはじめ、足音や遊具、楽器の音を除外する。保育所に設置した室外機の音や送迎時の親の声は、現行通り規制対象とする。
東京新聞:子どもの声 騒音規制から除外 都条例改正 来月施行 より一部引用(【追記】記事公開終了しました)
都民の声を募り、議会で話し合われた結果、子供の声が規制対象外になりました。
- 【対象者】小学校就学前の子供(乳幼児、保育園児、幼稚園児など)
- 【場所】保育所、幼稚園、児童館、公園など
- 【音】声、足音、遊具、楽器
- 【注意】保育園など送迎時の親の声は、これまで通り規制対象
これにより、子供達は一層のびのびと活動することができ、さらに保育園新設へもつがなるのではないかと期待できます。
とはいえ、節度は必要かと
僕自身、わが子が生まれるまで、子供の声や赤ちゃんの泣き声に対して「うるさいなー」と思うことがありました。というのも、子供が生まれる前は深夜勤務が多く、朝方帰宅して数時間だけ寝ようと思っているタイミングで、窓の外からにぎやかな声が聞こえてくると「じゃかましいわい!」と、心の中で叫んでいました。
わが子を授かってからは変わるもので、赤ちゃんの泣き声や子供の遊ぶ声がとても微笑ましく感じるようになったのです。「元気でいいね〜」「あ、生まれたばかりの赤ちゃんの声だ」など、騒音というより、今はむしろ癒しです。
子育て中は可愛いと思える子供の声も、そうでない方にとってはやはり迷惑になってしまう場合もあると思います。規制対象外とはいえ、やはり社会には色んな立場の人が共存しているので、節度と思いやりは大切にしたいですね。