よく、「病院代が年間10万円を超えたら、あとから返って来るよ」と聞きますが、これってどういう事なのでしょうか?
- 病気じゃない妊娠や出産も含まれるのか?
- いつ申告するのか?
- 金額はいくら返ってくるのか?
調べてみました。
医療費控除に「妊娠、出産」にかかる費用も含まれるのか?
国税庁のウェブサイトに、その答えはありました。
“出産に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断
妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用(*1)は医療費控除の対象になります。
出産で入院するときにタクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となります。それは、入院が出産という緊急時のため、通常の交通手段によることが困難だからです(*2)。
入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象になりません。
入院中は病院で支給される食事を摂ることになります。これは、入院代に含まれますので医療費控除の対象になります。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはなりません。
*1. 通院費用については領収書のないものが多いのですが、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておいてください。
*2. 実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはなりません。
No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例:国税庁より一部引用”
定期検診、検査、出産費は、控除の対象です。
医療費控除は、いつ申告するのか?
- サラリーマンは年末調整
- 自営業は確定申告
こういったイメージから、会社勤めをしている方は『医療費控除も年末調整』と思いがちですが、正解は『確定申告』です。
確定申告は、あなたがお住まいの地域の『税務署』へ申請します。確定申告の期間は『2月中旬〜3月中旬』になります。詳しくは、こちらも国税庁のサイトをご覧下さい。
“Q2 所得税の確定申告は、いつからいつまでにすればよいのですか。
A 平成24年分の所得税の確定申告の相談及び申告書の受付は、平成25年2月18日(月)から同年3月15日(金)までです。なお、還付申告については、平成25年2月15日(金)以前でも行えます。
確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&Aより一部引用”
還付申告には医療費(出産費)も含まれます。他には、住宅ローンがあるとき、災害や盗難で資産に被害を受けたときなどに、還付申請をする事ができます。
なお、国税庁のサイトにも書かれているように、「払い過ぎた税金を戻してください」という還付申告については、この確定申告の時期以外でも大丈夫です。詳しくは国税庁のサイトにて。
“1 還付申告とは
確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。還付申告ができる期間は、その年の翌年の1月1日から5年間です(確定申告義務のある人は異なります)。
No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例:国税庁より一部引用”
ここに5年以内とありますが、確定申告義務がある方は異なります。念のために、医療を受けた翌年1年以内に還付申告しておく方が無難だと思います。
税務署へ、確定申告(還付申告)。
少し余談。
私、個人的な話ですが、「昨年11月末、年末調整を受けずに年度の途中で退職」しました。そこで、 国民年金、国民保険、生命保険を支払った分を還付申告するために、今年8月、東京都世田谷区の税務署(住んでいる地域)へ行きました。
税務署って、映画やドラマの影響で怖いイメージがあったのですが、思いのほかすごく親切丁寧でした。
▲ 税務所の職員さんが隣についてくれて、備え付けのパソコンをつかって申告書をつくりました(e-tax)。この時点で、還付額(戻って来るお金)が自動計算。後日、銀行口座に振り込んでくれます。
いくら返ってくるのか?
- 年間医療費で、10万円を超えた分
- 年間所得が200万円未満の方は、5%を超えた分
まず、期間は『1月1日から12月31日まで』の分です。
この期間の領収書を、病院代、交通費など項目別にたばね、集計しておきましょう。
ちなみに、医療費控除は妊婦さんだけのものではありません。妊婦さん本人に加え、自分と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費を合算する事が出来ます。
例えば、こういう事です。
- 出産に掛かった費用100万円+自分の他の医療費2万円+旦那さんの医療費3万円 = 110万円
出産がある年は、年間医療費が10万円を超えるのはほぼ確実ですので、家族全員の領収書をとっておきましょう。
そして、実際に還付される(戻って来る)お金は、以下のようになります。
- 出産に掛かった費用(*1)- 10万円(もしくは年間所得の5%) × 10% = 還付金
例えば、出産に50万円掛かった場合は、4万円となります。
*1. 出産育児一時金42万円をひいた額で計算します。参考:厚生労働省ウェブサイト「出産育児一時金について」。
合計から10万円を引いた10%。
さらに! 医療費控除にともない、住民税、健康保険料、保育料なども下がる可能性がある
医療費控除を行うと、住民税を計算するもととなる課税所得額が減ります。ですので、還付申告を行うと…。
- 医療費控除で払った税金の一部が戻って来る。
- 翌年の住民税が下がる可能性がある。
- 健康保険料も下がる可能性がある。
- 所得に応じて決まる保育所代が下がる可能性がある。
など、実質所得が減るため、こういった他の部分への波及する可能性があります。
領収書はかならずとっておき、忘れずに税務署へ還付申告するようにしましょう。
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