「婚姻届受理証明書」というのをご存知ですか?
その名のとおり「婚姻届けを受理しました」という証明書です。
婚姻届を提出された方の多くは、役所に提出して、それで手続きを完了している場合が多いのではないでしょうか。しかし、その際に「婚姻届受理証明書をください。賞状タイプ(上質紙)で」と言えば、とても思い出に残る証明書を発行してもらえるのです。
婚姻届受理証明書は、SNSでも度々話題になっています。今回は、婚姻届受理証明書の発行方法についてお伝えします。
婚姻届の出し方
婚姻届受理証明書をもらうには、当然のことながら婚姻届を提出する必要があります。
恋人を見つけて、婚約して……の部分は省いた「婚姻届」提出の手順は、以下の通りです。
- 婚姻届を役所の戸籍課でもらう。
用紙は全国共有。どこでもらっても大丈夫です。 - 夫婦となる二人が署名捺印
- 証人(成人)となる二人の署名捺印
- 夫婦となるふたりの戸籍謄本を準備する(*1)
- 本人確認用の運転免許証やパスポートを準備する
- 提出する(夫または妻の本籍地、あるいは所在地の区市役所・町村役場へ)
婚姻届の提出は、ほとんどの役所で365日24時間対応しています。届け出た日から、法律上の効力が発生します。
*1. 戸籍謄本について
少しややこしいのですが、本籍と婚姻届を提出する市区町村が同じ場合は「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」は不要です。たとえば、以下の場合は妻となる方の戸籍謄本が必要になります。
- 【婚姻届提出先】東京都世田谷区の場合
- 【夫となる人】本籍が東京都世田谷区(戸籍謄本は不要)
- 【妻となる人】本籍が大阪府大阪市(戸籍謄本は必要)
また、市区町村によっては、戸籍謄本ではなく戸籍妙本でもよい場合もあります。詳しくは各役所に問い合わせるか、それぞれのウェブサイトを確認してください。
戸籍謄本に反映されるまでの日数
結婚の話題で縁起でもないですが、離婚をした人のことを「バツイチ」「バツニ」と呼ぶのは、何故だか知っていますか?
戸籍謄本は、「いつ、どの父と母の元に生まれたのか」から始まり、婚姻すると、婚姻の日付、配偶者の名前や身分(出生日、出生地、父・母の氏名など)が追記されます。要は、台帳に履歴が書き加えられて行く訳です。
そして離婚をすると、戸籍謄本の原本の婚姻欄に大きくバツを書かれます。だからバツイチ。2度離婚をするとバツニになる訳です。
最近は、ほとんどの役所で戸籍謄本の電子化が進んでいますが、2000年代までは割と手書きが多かったのではないでしょうか。戸籍謄本は、非常に大事なものですので、出生や変更届けがあった際は、役所でチェックを行い、新規作成や書き換えが行われます。さらに、戸籍謄本は手書きだった。そのため、戸籍変更の届出から、戸籍謄本が書き換えられるまで日数がかかったのです。
現在は、電子化されていると言っても、即日変更されることはありません。ほとんどの役所で1週間程度(3〜10日)掛かるのが一般的です。
また、戸籍謄本が変わらないと、住民票にも反映されません。
婚姻届受理証明書は、何のために必要?
さて、冒頭でお伝えした「婚姻届受理証明書」ですが、これは戸籍謄本の書き換えが待てない方のために用意される、役所が発行する証明書です。
「戸籍の書き換えはまだだけど、婚姻届は確かに受け取りましたよ!」
を、他人に証明する際に使用します。
もしこれが無いと、「あなたたち、夫婦だとおっしゃいますけど、本当に夫婦なんですか?」と疑われることもありえます。法律上は、婚姻届の提出日から夫婦として効力はあるのですが、何も証明するものが無いからです。
でも、婚姻届受理証明書があれば、「今は戸籍謄本が更新されるのを待っている状況です」と証明することができます。
利用機会としては、たとえば海外ウェディングがあります。教会の牧師様によっては、婚姻届を提出してからでないと挙式があげられない場合があります。こうした場合に、婚姻届受理証明書を持参するのです。また、パスポートの申請時も、戸籍謄本(妙本)の代わりに婚姻届受理証明書が使えます。
ただし、婚姻届受理証明書を使う機会は、実はほとんどありません。婚姻で苗字が変わって運転免許証を書き換えを行う際は、本籍地が記載されている住民票が必要です。また、銀行口座の苗字変更も同様で住民票や戸籍謄本(妙本)が必要です。婚姻届受理証明書では、名義変更ができないのです。
このように婚姻届受理証明書は利用機会が少ないので、あまり知られていません。
賞状タイプの婚姻届受理証明書をもらう方法
さて、いよいよ本題です。
役所で「婚姻届受理証明書をください」といえば、通常「戸籍の届出受理証明書」が発行されます。戸籍の変更は婚姻だけではありません。先の離婚もあれば、死亡もあります。これらをまとめて、戸籍の提出を済ませた(役所が受理した)のを証明するのが、「戸籍の届出受理証明書」です。1通350円です。
でも、ここでもらいたいのは、この「戸籍の届出受理証明書」ではありません。
戸籍の届出受理証明書に含まれる、婚姻届だけに特化した「婚姻届受理証明書」です。役所の窓口で「賞状タイプ(上質紙)の婚姻届受理証明書をください」と伝え、役所にある戸籍証明等請求書に記入すれば発行してもらえます。料金は、役所によって違うかもしれませんが、ほとんどが1,400円です。
これは、発行するまで日数がかかります。
ですので、本来の「戸籍謄本が更新されるのを待てない方が使う」ものではありません。婚姻届けの記念に作ってもらうのです。婚姻届受理証明書のデザインは、真面目なものから、可愛いデザインのものまで、市区町村によって様々です。
注意点は、婚姻届受理証明書が発行できるのは期限がある、ということです。戸籍謄本が更新されれば、本来もう不要なものですからね。欲しい方は、婚姻届提出時に確認し、早めに申請するようにしましょう。
全国のかわいい婚姻届受理証明書
大半の自治体は、真面目なデザインなのですが、地域によってはとても凝ったデザインの婚姻届受理証明書を用意しているところがあります。少しご紹介します。
茨城県潮来市
市民課の茨城県潮来市(いたこし)では、婚姻届受理証明書に「嫁入り舟」をあしらった独自デザインが導入されました。
潮来市の市民課で、「婚姻届を出してくださった方に、何か素敵なことができないかな」と考えてデザインされたとのこと。潮来市では、白無垢を着た花嫁が舟に乗り、対岸にいる花婿の元へ向かうという結婚式の風習があるそうで、地元らしいデザインという訳ですね。
茨城県水戸市
水戸市のマスコットキャラクター「みとちゃん」が描かれれいます。地元名産の水戸納豆ですね。
東京都稲城市
稲城市のキャラクター「稲城なしのすけ」をモチーフにしたデザイン。テーマは「はばたき・実り」。
長野県諏訪市
この女の子のキャラは、諏訪藩御料人「諏訪姫」とあります。
福岡県嘉麻市
キャラクターは、嘉麻市のゆるキャラ「かまししちゃん」です。嘉麻市の「かま」と、地元にいる「いのしし」を合わせたそうです。
沖縄県石垣市
石垣島の美しい自然がたっぷりに描かれていますね。
入籍の記念に
他にも、かわいいデザインの婚姻届受理証明書は日本各地にあります。大半は真面目な表彰状風のデザインが多いのですが、今度は増えて行くかもしれませんね。今後入籍をする予定の方はもろちろん、周りで結婚予定の方がいる場合は、ぜひ教えてあげてくださいね。
きっといい思い出にになると思います。結婚式や2次会のウェルカムボードとして活用したり、自宅に飾ったりしているようです。
あとからは発行してもらえないものですので、ぜひ手に入れておきましょう!